第1回 結婚相談所のあいまいすぎる「成婚率」。その実態と正しいとらえ方

2019年06月05日


 「当社は◯%の高い成婚率!」「成婚率No.1の結婚相談所」。中堅以上の結婚相談所や大手の結婚情報サービス(データマッチング)会社が、競うようにこうアピールしているのを、あなたもよく見かけることがあると思います。この「成婚率」とは文字通り、全体の中で成婚に至った率を示します。しかし、これをそのまま鵜呑みにするのはとても危険です。いえ、勘がいいあなたなら、言われなくてももう見抜いているかもしれません。なぜそう言えるのか、そして、それならば、婚活中の身としては、これをどのようにとらえればよいのか。その実態をつかまえるところから始まり、適切なとらえ方に至る道筋について、できるだけわかりやすく示していきます。さあ、「成婚率」の果てしない比較ゲームは、今日限りで終わりにしましょう。


※結婚相談所や結婚情報サービス(データマッチング)会社の区別、種類について知りたい方は、以下を参照ください。

結婚相談所の3つのタイプとは?


目次

1.「成婚率」に潜むモヤモヤの実態

2.まだある「成婚率」が当てにならないその他の理由

3.「成婚率」比較ゲームから離脱する

4.結婚相談所、結婚情報サービス会社側からの情報発信。だから混乱する

5.まとめ:「成婚率」を当てにせず、本当の意味で「成婚」を高める要素に着目




「成婚率」に潜むモヤモヤの実態


 まず、「成婚率」という言葉を、どのような意味で結婚相談所や結婚情報サービス(データマッチング)会社が使っているのでしょうか。以下は、大手の結婚情報サービス会社の実際の方式も混じえた比較例です。


A社:成婚退会者 ÷ 全成婚退会者(会員外の成婚を含む)        = 成婚率

B社:成婚退会者 ÷ 全退会者(会員外の成婚と成婚不成立のすべてを含む)= 成婚率

C社:成婚退会者 ÷ 在籍会員数                    = 成婚率


※成婚退会者とは、結婚を決めて、結婚相談所や結婚情報サービス会社のサービスを使用することを辞めて退会した人


例として、ある期間内での数字を当てはめて考えてみます。


・成婚退会者                : 5名

・全成婚退会者(会員外の成婚を含む)    : 10名

・全退会者(会員外の成婚と成婚不成立を含む): 30名

・在籍会員数                : 100名


上記のような数字を持つ結婚相談サービス会社があったとして、A社、B社、C社それぞれの計算方式を当てはめて成婚率を出してみます。すると、以下のようになります。


A社方式の成婚率:5 ÷ 10 = 50%

B社方式の成婚率:5 ÷ 30 = 16%

C社方式の成婚率:5 ÷ 100 =  5%




ちなみに、国勢調査と同じ方法はC社です。この方式にしなければいけないといった決まりはありませんが、C社の在籍会員数で割る方式をとる方が、より一般的な統計方式を重んじていると言えます。


ここで挙げた以外にも、様々に計算式の可能性が考えられます。要するに、割り算をする時に、分母を何にするかでこんなにも「成婚率」に違いがでてくるのです。そして、結婚相談所や結婚情報サービス各社が、それぞれ自社独自の判断でそのやり方と数字を決めて公表しています。婚活中の方は、公表されている「成婚率」について各社共通のものさしで計算していない事実を、まずしっかり把握しておくことが大切です。


まだある「成婚率」が当てにならないその他の理由


 しかし、もっと根本的なことから考えてみましょう。あなたは、そもそも「成婚退会」の意味と数字についても、実はとてもあいまいなものだとお気づきでしょうか。以下にわかりやすい2つの例で考えてみましょう。


1.婚姻届を役所に提出したことを確認した上で、成婚退会とする

2.お互いに結婚の意思を示したことにより、成婚退会とする




もし仮に、1)の場合なら、「成婚」が証明できるわけですから、「成婚退会」を確実な数字としてカウントできます。しかし、言うまでもなくこんなことまで確かめている結婚相談所や結婚相談サービス会社は、おそらく皆無でしょう。


では、2)の意思の確認のみの場合はどうでしょうか。この場合は、1)のような婚姻届という証明がないため、1)ほど確実に成婚したとは言い切れないところがあります。プロポーズをして、結婚の約束をした。しかし、その後にお互いの気持が高まらなかった、双方の家族の理解と信頼が得られなかった、結婚式での考え方でお互いに亀裂が入った等々の理由で、実際には破談になるケースもめずらしくはありません。ところが、一般的には、結婚相談所や結婚情報サービス各社のほとんどは、この2)の意味で「成婚退会」を定義して使っています。そのため、それらが公表している「成婚退会」の数字には、その後の破談の件数も一定数含まれていると考えるべきです。


尚、主要都市にネットワークのある中堅以上の結婚相談所や大手の結婚相談サービス会社は、カウンセラーと会員との関係性が濃密ではないため、破談のケースについて追跡しきれません。そのため、それらが公表している「成婚退会」の数字には、「成婚退会」後に実際には結婚しなかった退会者らが一定数確実に含まれていると考える必要があります。小さな結婚相談所の場合は、会員とふだんから密度の濃いコミュニケーションがとりやすいために、退会後も追跡してその事実を把握することはその気になればできます。ですから、公表しているかどうかは別にして、1)の意味に近い真の「成婚退会者数」を把握している可能性はあると言えます。


このように、「成婚率」を計算するときの分子である「成婚退会」の数字でさえも、あいまいさが残されている事情があります。先の分母のあいまいさと合わせて、ダブルで不明瞭な数字です。しかし、あなたが日頃目にしている「成婚率」なるものは、それらに基づいて計算され、表示されているのが実態です。それが、なんとも頼りない値であることがおわかりいただけるはずです。


 


「成婚率」比較のゲームから離脱する


 さて以上のことから、とてもあいまいで統一基準のない「成婚率」を基にして、結婚相談所や結婚情報サービス会社を探すことは、現状ではそれほど意味のあることではないと言えそうです。


すでにお伝えした通り、婚活中であるあなたは、「成婚率」に関して現状では業界で統一された基準がないため、比較が困難 であることを理解する必要があります。また、中堅以上の結婚相談所や大手の結婚情報サービス事業者の多く、そして小規模結婚相談所の一部は、すべての成婚退会者のうち、その後本当に結婚をして婚姻届を提出した人が何人いるかまで、完全に把握できていません。ですから、真の「成婚退会者」どの程度いたかについて、消費者である婚活者に自信をもって示すことができない事情があります。


もちろん、例えば、楽天オーネットやツヴァイ、パートナーエージェントなどの「結婚情報サービス(データマッチング)会社」タイプに限定し、それらを同じ計算式で比較することはできます。そして、その比較はそれなりに参考情報として役には立ちます。これらの会社は、先に挙げた「成婚退会者」
÷ 「在籍会員数」=「成婚率」という計算式を使っていることが多く、簡単に比べることができます。


一方で、中小規模の結婚相談所については、「成婚率」が公表されていないことも多く、仮に公表されていても計算式がはっきりしないケースもあります。そのためもし尋ねたとしても、はっきりとした回答が得られる保証はありません。


ただ、「結婚情報サービス(データマッチング)会社」や、いわゆる世話焼き仲人型の「結婚相談所」などのタイプを問わず、縦横無尽にたくさん比較検討するとなると、よほど注意深く行わない限り比較の仕方自体が乱暴になり、ほとんど意味をなさなくなります。その代わりに、他の方法でより積極的に結婚相談所や結婚情報サービスについて知るための時間を使ったほうがよほど有意義でしょう。


結婚相談所、結婚情報サービス会社側からの情報発信。だから混乱する


 よく考えてみてください。今までお伝えしてきた「成婚率」について情報提供をしているのは、結婚相談所や結婚情報サービス(データマッチング)会社の側でした。しかし、そこからの発信である限り、今までお伝えしたように正確な「成婚」の数や統一基準で測られた「成婚率」をつかむことは難しくなります。


そこで、視点を変えて、消費者、つまり婚活者の側からこれをとらえることはできないのかと考えてみます。以下は、経済産業省によって行われた調査で、結婚相談所や結婚情報サービス等の利用経験者へアンケートを実施した結果の一部です。これによって、より正確な「成婚」の情報をつかもうという試みです。婚活者の回答であれば、業者が示す数値よりも、より実態に即したものであるはずです。最終的に結婚したかどうか知りたいのであれば、婚活者から直接聞いたほうが正確さが増すのは言うまでもありません。




出典:平成21年 経済産業省 サービス産業生産性向上支援調査事業 報告書 


※「仲人・結婚相談所型」「データマッチング型」「インターネット」型の3種について詳しく知りたい方は⇒ コチラ を参考にしてください。


上の表ですが、結婚した(または婚約中の)人全体の中で、相談所や結婚情報サービスで知り合って結婚した(または婚約中の)人と、そのサービス外で知り合って結婚した(または婚約中の)人の割合を表しています。さらに赤枠で囲ったところは、それを、「仲人・結婚相談所型」「データマッチング型」「インターネット」の3タイプに分けた上で、それぞれのサービスを使って結婚した(または婚約中の)人の割合を示しています。


この赤枠の数値は、結婚しておらず、かつ婚約中でもない人を含めて計算された割合ではありません。そのため、一般的によく使われる「成婚率」を表しているわけではありません。


しかし、これによって、3タイプの中で少なくともどのタイプがもっとも「成婚」の割合が多いかは少ないかについては判断できます。これによれば、小さな結婚相談所によくある、いわゆる世話焼き型の「仲人・結婚相談所型」が26.0%で、もっとも「成婚」の割合が高くなっている点には注目すべきです。


もっとも、実際には、各事業者 が実施しているサービスは重複しているケースも多くあります。インターネットの普及とともに、各事業者とも、他の業態のサービス方法を取り入れてきています。「仲人・結婚相談所型」である小さな結婚相談所も、仲人のアドバイス、カウンセリングを主軸としながらも、インターネットでの検索システムを多くが活用しています。また逆に、元々インターネットを活用していたり、データマッチングや情報提供を主軸としていながら、徐々にカウンセリングやアドバイスの比重を高めているところもあります。したがって、現状はこれらの業態をはっきりと分類することが難しくなってきています。この点は、この報告書にも指摘されているので注意が必要です。


確かにこの点は踏まえる必要がありますが、ただ、同調査で事業者別のアンケートによれば、重複回答可とは言え、これら3タイプの事業者のおよそ9 割が「仲人・結婚相談型」のサービスを取り入れていると回答しています。つまり、こういった結婚相談サービスを行う場合、「仲人・結婚相談所型」に見られるようなしっかりとした仲人、アドバイザーによるサポートがとても重要だと考えていることが読み取れます。婚活者のニーズにさらに応え、婚活者をより成婚に近づけるため、この種のサービスを積極的に取り入れている現状が垣間見えてきます。


まとめ:「成婚率」を当てにせず、本当の意味で「成婚」を高める要素に着目


 さて、ここまで「成婚」や「成婚率」について、あなたと共に考えてきました。統計資料もあり、ちょっと大変なところもあったと思いますが、いかがでしたでしょうか。各社がインターネット上で公開している「成婚」の値や「成婚率」は、実は計算方法に統一性がなく、あいまいで、不確かさも含んだデータである。そのことだけでも、しっかり理解いただければまずは十分です。


繰り返しになりますが、現状では、サービスの質としての「成婚率」を正しくつかまえる方法がありません。それができるに越したことはありませんが、数字にそれほど神経質になる必要もないかもしれません。これまでにお伝えした理由から、以下の2点について知っておくだけで、十分役に立つからです。


1.婚活者(消費者)の視点から、成婚の割合がもっとも多いのは「世話焼き仲人・結婚相談所型」のサービスである

2.多くの結婚サービス業者は、どんな業態であれ、「世話焼き仲人・結婚相談所型」のサービスにかなりウェイトを置きはじめている


1)と2)は、対応関係にあり、本質的には同じことを指しています。あなたが結婚相談所や結婚情報サービス(データマッチング型)の利用を検討する際は、この2点を頭に入れておきましょう。その上で、各社のカウンセラー、アドバイザーと面談し、じっくり話してみます。対話と通じて会社の方針や雰囲気が感じ取れると思います。そして、「成婚率」という表面的な数値からは見えてこない、「成婚」につながるサービスの質を感じてください。具体的には、どれくらいカウンセリングに時間を割いてくれたか、またどれだけあなたのことを理解し、その上で寄り添って話の受け答えをしてくれたのか、内容は充実していたと感じたか、さらには入会後は充実したサポートが受けられそうかなどといった点に注目しましょう。


安易に各社のバラバラな「成婚率」に頼り、振り回されるよりも、サービスの質をあなた自身で確認し、見極めていく。このほうがあなたにふさわしい「成婚」への可能性が高いサービスを、上手に探し出すことができるのではないでしょうか。




こんかつ山 編集部