第1回 お見合いはネット通販ではありません。相手からも自分が選ばれることが必要です

2020年03月26日




東京世話焼きおばさんの縁結びのスタッフ。左から2人目が小野寺さん、4人目が下間さんだ


お見合いはネット通販ではありません。相手からも自分が選ばれることが必要です


 筆者(大宮)は結婚をテーマにした取材活動を長く続けている。婚活や結婚の当事者だけでなく、様々な有識者にインタビューすることもあるが、結婚相談所のカウンセラーほど婚活や結婚生活に関する現実的な知見を持っている人はいない。会員の一人ひとりと信頼関係を築き、責任を持って婚活をサポートし、成婚した人との温かい人間関係が続いているケースも少なくないからだ。だからこそ、その話はやたらに面白くて役に立つのだと思う。

 本シリーズでは、婚活をしている人になり代わって筆者が結婚相談所のカウンセラーを直撃して本音で語り合う。普通はちょっと聞きにくいことまで聞いてしまうつもりだ。第1回のテーマは、「会員が少ない結婚相談所に入会しても『いい人』と出会えないのでは?」である。

 答えてくれるのは、東京・神楽坂を拠点に女性5人で運営している「東京世話焼きおばさんの縁結び」(以下、世話オバ)。会員をカウンセリングする際は、スタッフの主観が出過ぎるのを防ぐために必ず2人1組で対応するというユニークな相談所だ。今回のインタビューにも創業以来のスタッフである小野寺優子さんと下間瑞紀さんが2人で応じてくれた。




理論上は2万人以上の異性とお見合いできる。でも…


――世話オバの会員数は何人ぐらいですか?


小野寺 現在、80人弱です。一人ひとりをちゃんとお世話するには適正な人数だと感じています。100人を超えると多すぎますね。自会員同士のお見合いを組むこともありますが、うちは2017年11月から日本ブライダル連盟(※多くの結婚相談所が会員を共有するデータベースの一つ)に加入しているので、会員さんは2万人以上の異性のプロフィールを見て、お見合いの希望を出すこともできます。


下間 ただし、実際にはそんなにたくさんのプロフィールを見る必要はありません。むしろ、見ないほうがいい。例えば、年収6千万円のイケメンのプロフィールを見た後では、年収200万円の男性からお見合い希望が来たとしても受けたくなくなってしまうでしょう。


小野寺 ネット通販のカタログを見ている気分で「何でも選べるお客様感覚」になってしまうのです。でも、実際は相手からも自分が選ばれなくてはいけません。客観的に考えてもらうと、プロフィールがピカピカの男性が選ぶのは女子アナみたいなタイプだと気づいたりするのですが……。




入会して5カ月間ぐらいで10人弱の異性とお見合いして決めるのが王道


――いろんな異性と会ってみたい、高望みしたい、というのが人情だと思います。でも、誰にしようか迷ったりお見合い自体を断られたりしているうちに年齢を重ねてしまいそうですね。


小野寺 その通り。今まで迷って来たから独身のままでいる人たちを、(たくさんの候補者を見せることで)さらに迷わせてはいけないと感じています。現状では会員さんがすべての異性のプロフィールを閲覧できてお見合いを希望できるシステムです。でも、閲覧できるのは多くても月に30人までにしたほうが良い気がします。


下間 申し込まれる場合も同様です。多すぎるのは良くありません。例えば、若々しい外見の美人が新たに会員になると、プロフィールを会員向けに公開した直後に100件を超える申し込みが殺到したりします。率直に言って、彼女の希望にはまったく沿わない男性も「ダメ元」で申し込んでくるのです。そのすべてを本人に見せると疲弊させてしまうので、どう考えても無理なお申し込みは私たち相談所の判断でNGを出すようにしています。


――数をこなせれば良いわけではない、と。


小野寺 世話オバで結婚が決まる人は、入会して5カ月間ぐらいで10人弱の異性とお見合いしてから決めるパターンが多いです。何十人も会う必要はありません。最初のお見合いで結婚を決める人もいます。お見合いは無料ではないし、時間も労力もかかります。月5件とかは多すぎますよ。お見合いは多くても月に3件ぐらいにして、それぞれとじっくり向き合うことをおすすめします。最終的に結婚する相手は1人なのですから。




「婚約しそうなのに気持ちが高まらない? そんなものだよ。いいんだよ、それで」


――意外と短期間での勝負なんですね。「この人」に決める際は相談所による的確なアドバイスも重要だと思います。会員にはどんな言葉をかけてあげていますか。


下間 最初はあまりアドバイスをしません。例えば、自分がアラフォーなのにアラサーの美人との結婚を望む男性がいたとします。お見合いができたとしても話が合わないことなどを繰り返して、自分の収まりどころを知るのです。交際を始めた会員さんの気持ちが6割ぐらい結婚に向かっていることがわかったら、「その人はあなたに合うと思うよ」「婚約しそうなのに気持ちが高まらない? そんなもんだって。いいんだよ、それで」などと声をかけてあげることが多いですね。結局のところ、正解かどうかは結婚してみないとわからないのですから。


 以上が世話オバへのインタビュー内容だ。婚活をしていると、知らず知らずのうちに「選ぶ側」に回ってしまうことが多い。そして、自分のことは棚に上げて「いい人がいない」などとボヤき始める。

 無数の他人の中から「いい人」を選べることよりも、誰かに選んでもらえる自分になることのほうが重要かつ有効なのだと思う。縁あって一緒にお茶や食事ができることになった人には感謝しながらきちんと向き合いたい。そのすぐ先に、想像もしなかった良縁が待っている気がする。




みんなが「いい」と思う人に縛られなくていい。そこに気付いてほしい


小野寺さんからの追伸:


 

 最近、私たちは蒼井優の結婚をよく例えに出しています。蒼井優はシズちゃんがいたからこそ山ちゃんの良さに気づけた、間に人が入っていることで「相手の見えなかった良いところ」に気付ける、と。

 自分だけで結婚相手を選ぼうとすると年収や外見にとらわれます。

 蒼井優も周りにイケメン俳優がたくさんいたから、かなり迷走しましたよね。そこを「信頼出来る友人」のシズちゃんがちゃんとアドバイスしたのだと思います。蒼井優もそこでハッと気付いたのではないでしょうか。自分はシニカルなところがあるし、話が楽しい男性がいいんだ!外見は二の次でいい!って。蒼井優だけだったら山ちゃんと結婚まで行けなかったはずです。私たち世話オバは「シズちゃん」なのです。

 会員さんはひとりひとり違います。だから、お相手だってみんなが「いい」と思う人に縛られなくていい。そこに気付いてもらえるようにアドバイスしています。




大宮からの追伸:


 

 会員が選ぶべきものは、結婚相手候補の数ではなく、たった一人の適切な結婚相手であり、そのためにはシズちゃんのような頼れる仲介者が必要なときもある――。小野寺さんのお話に僕も深く同意します。

 世の中のIT化が進めば進むほど、僕たちは膨大な情報に接するようになります。結婚情報はその典型ですよね。すると、「いかに大量かつ良質の情報を得るか」とか「その情報から最高のものをゲットするにはどうするべきか」という思考になりがちです。でも、選ぼうとするほど自分が本当に求めているものがわからなくなったり、やっと選んだ相手からは見向きもされなかったり……。どうすればいいのでしょうか。

 世話オバとの対話で感じるのは、2つのステップです。すなわち、信頼できる人や組織のサポートを得ること。そこで紹介された人ならば5人中1人ぐらいとは結婚生活をできること。

 かつての日本社会では職場恋愛やお見合いが結婚の大半を占めていました。会社や両親を基本的に信頼し、お互いに生理的に無理な相手でなければ歩み寄っていたのだと思います。ちなみに僕は4年間通った大学に愛着があり、現在の妻とも大学の卒業10周年パーティーで知り合いました。「同じ大学に同時期に通った」という共通点がなければ、すぐには信頼関係を築けず、結婚には至らなかったかもしれません。

 このような出会い方が少なくなった現在は、シズちゃんのような人を自力で探す必要があるのです。身近にはいない場合は、世話オバのような結婚相談所の門を叩くことも大いにありだと僕は思います。







世話オバが制作・公開している「babacafe」。ほのぼのした絵と辛口コメントが絶妙です




※この記事はヤフーニュース個人に掲載した「会員が少ない結婚相談所に入会しても「いい人」と出会えないのでは?~結婚相談所の現実(1)~」を加筆・修正したものです。