第16回 『Bridalチューリップ』 東京都豊島区の結婚相談所

2019年09月19日


 結婚相談所の訪問取材を続けていると、会員のお世話をしている相談所に対して筆者が「余計なお世話」を言いたくなることがある。例えば、恋活・婚活アプリ大手のペアーズなどが独身証明書の提出を必須にした婚活サービスを始め、相談所の領域に進出していること。うかうかしていると相談所の存在意義が失われてしまうのではないかと心配になるのだ。

 他にも言いたい。相談所は結婚という人生の重大事において顧客と関わっているのに、リピート客を前提としていないビジネスモデルであることが多い。客の側としては、1日も早く結婚して相談所と縁を切ることが目的となってしまう。常に新規顧客を求め続けるのは疲弊するし、健全なビジネスとは言えない。

 このような筆者の心配を解消する試みをしている結婚相談所がある。東京・高田馬場に本拠を置くBridalチューリップだ。代表取締役の桑山裕史さんに会い、まずは10年前に起業した経緯から聞くことにした。

「無縁社会の解消が弊社のビジョンです。私自身は30歳で独立することを決めていました」

 大学卒業後に大手の通信販売企業に就職し、シニア層向けに高額商品を販売する部門に配属された桑山さん。経済的には裕福でかつ健康な60代70代の顧客から、「一人だと寂しくて辛い」「死にたい」といった声を聞いて驚いたと振り返る。起業後、孤独の解消という深刻なニーズに応えるビジネスを試行錯誤。現在はシニア層の子ども世代である人々の結婚支援に注力している。将来の単身高齢者を一人でも減らすことが目的だ。

第15回 『SUN SUN CALL』 東京都港区の結婚相談所

2019年09月11日


「エンターテイメントとは人の気持ちをつかむことです。婚活とは『自分活』であり、結婚相手を探すことで自分がわかってきます。人の気持ちをつかめる自分とは何かを知ることができるのです。もしも私たちの相談所でお相手に出会えなかったとしても、外でご縁があるかもしれません。そのときに自分の魅力を大いに生かしてほしいと思っています」

 ここは東京・南青山にある芸能プロダクション。約30年の実績があり、著名な女優やモデルが在籍をしている会社だ。2019年4月から、新規事業として「もっと、エンターテイメントな婚活へ。」を掲げた結婚相談所SUN SUN CALLをスタートした。責任者の野上今日子さんは意気込みを率直に話してくれる。

 野上さん自身の前職は大手結婚相談所のサンマリエ。イベント開催の部署に所属し、大小の婚活イベントを「山のように」企画して実行した。

「婚活や結婚相談所の知識や原理原則を働きながらたくさん教えてもらいました。ただし、イベントは出会い作りだけで終わってしまいます。今度はもっと身軽な立場で目の前のお客さんのご縁を一つずつ結びたいと思うようになりました」

 サンマリエで働く前はショットバーを9年間も経営していた野上さん。さらにその前はワハハ本舗に勤務し、ある女優のマネージャーを10年間担当した。経歴を聞くだけで、他人をサポートしたり楽しませたりする仕事が好きでしょうがないのだと感じる。

 15年ぶりに芸能プロダクションの仕事に復帰し、新規事業を任された野上さん。かつて経験したマネージャー業と結婚相談所の共通点を次のように語る。

「マネージャー時代に大切にしていたのは、担当女優の話をしっかり聞くことです。現状や過去のことについてもガス抜き程度には聞きますが、私が意識していたのは未来の話題。これからどんな作品に出たいのか、誰と一緒に仕事がしたいのか。本人のためだけではなく、私のためです。これから彼女はどんな人と出会ったらいいのかを知るためのヒントになります」

 未来志向で話を聞くことは、SUN SUN CALLの会員との対話でも重視している。過去の恋愛経験から反省するよりも大切なのは「これから」の生活だ。どんな相手と出会い、どのような生活がしたいのか。具体的にイメージを膨らませて言葉にすることで良き出会いを引き寄せられる、と野上さんは信じている。

「昨日、30歳の女性会員さんと面談をしました。未来志向で話を聞いたところ、『ワクワクしてきました』と言ってくれたんです。目がキラキラしてとてもかわいかったです。そういう人はモテますよね」

第14回 『BRIDAL HILLS』 東京都渋谷区の結婚相談所

2019年08月30日


 婚活アプリが隆盛を極めつつある。20代30代だけでなく、今年で43歳になる筆者の同世代でも利用している人は少なくない。だからこそ、パリッとした精悍な風貌の高橋充さん(32歳)が結婚相談所を独立開業していると聞いて嬉しくなった。いろいろ聞いてみたい。

 高橋さんのキャリアはIT企業への新卒入社から始まる。名古屋の拠点で働いていて、プライベートでは先輩社員や知人の「恋活」のお手伝いをしていた。

「合コンを自分で開いたり、合コンに先輩を引っ張って行ったりしていました。印象的だったのは、ある人の送別会を開いたお店の女性店員さんと先輩をくっつけたことです」

 どうやったらそんな芸当ができるのだろうか。筆者には想像もつかない。仕事中の店員は確かに魅力的に映るが、声をかけて親しくなるのはハードルが高い。高橋さんには特殊なマッチングセンスと実行力があるのだろう。

「出会いというのは誰かが動かないと実現しません。この経験で人と人をつなぐことにやりがいを覚えました。ちなみに先輩はその店員さんとは別れてしまいましたが、今度は私の取引先の事務員さんとのご縁を結ぶことに成功し、今では幸せな結婚生活を送っています」

 4年後、高橋さんは転職して人材業界に入った。新卒採用や研修のコンサルティング業務である。そこで4年間「人に関わるスキル」を磨き、ITベンチャーに転じた高橋さんはいつしか独立開業を目指すようになっていた。

「名古屋での恋愛お手伝い経験、人に関わるスキル、そして会社経営の近くにいたこと。すべて組み合わさって独立心が芽生えました」

第13回 『リアルラブ』 東京都渋谷区の結婚相談所

2019年08月09日


 相談とは、悩みを抱えた人が解決を求めて信頼できる人に話を聞いてもらう行為を指すのだと思う。言葉にしているうちに自分の気持ちを客観視できて、解決策が自ずと見つかることもある。

ならば、結婚「相談」所を掲げる会社や個人が第一にやるべきは、結婚したいのにできていない人の話をじっくり聞くことだ。それをやらずに相手候補を次々と紹介するのは「結婚相談所」というよりは「結婚情報サービス」に近い。

「私自身、結婚したいと思った30代後半で3つの結婚相談所を体験しました。でも、ちゃんと相談にのってくれないのです。私の話を聞かずに『あなたにはこういう相手がいいんじゃないの?』とお見合い相手を紹介し、お見合いして断られると『あら、ダメだったの。じゃ、次はこの人に会ってみたら』の繰り返し。私は結婚の相性は自分で作っていくことができると思っています。相性がわかるためには、まずは自分自身を知ることだと思うんです。その人がどんな人なのか、どのような生き方をしたいのかを明確にしていくことこそが、『本当の相談』です。だから、私が結婚できたあかつきには本当の相談にのってくれる結婚相談所を作りたいと思いました」

 前のめりで一気に話してくれるのは、「結婚相談所&婚活カウンセリングのリアルラブ」を運営する湯田佐恵子さん。とにかく頭と舌の回転が速く、マイペースな筆者はやや圧倒されてしまった。ただし、その傍らには筆者以上にマイペースそうな旦那様の博和さんがニコニコしながら座っているので息苦しくはならない。夫婦漫才のような絶妙のコンビなのだろう。

 筆者はバツイチの既婚者だが、離婚して独身のままという想定で30分間の体験カウンセリングを受けさせてもらった。佐恵子さんは次々と質問し、心理学や性格学の知見を活かして筆者がどのようなタイプなのかを明らかにしてくれる。

佐恵子さんによれば、筆者は「他人のいいところを観察してモデリングする(取り入れる)ことが得意で、失敗しても結果が出るまで努力するタイプ」らしい。僕は他人の影響を受けやすいけれど向上心はある、と自分でも密かに思っていたので嬉しくなった。そのままでいいのだと励ましてもらった気もした。

第12回 『ハッピーカムカム』 東京都港区の結婚相談所

2019年08月06日


「代表の峰尾自らインタビューを受けます。それだけで、価値は十分におわかりいただけると思います」

 本連載は「こんかつ山」に登録した結婚相談所の中で、筆者によるインタビューを希望する相談所を訪れている。事前に冒頭のような自信に満ち溢れたメッセージを送ってくれたのは、東京のハッピーカムカムだ。

 ハッピーカムカムは「ワンランク上の結婚相談所」を標榜している。しかし、年収や職業、学歴などでの入会条件は設けていない。同社の「ランク」とは会員のスペックではなくサービスの品質を指すようだ。結婚相談所における品質の第一は、短期間で納得のいく結婚ができることだろう。ハッピーカムカムはどのようにしてそれを実現しているのか。

「当社の現場には16名のスタッフがいますが、その採用基準は『他人の話を黙って3時間聞ける人』です。1時間なら簡単ですが、3時間ちゃんと聞ける人はなかなかいません」

 代表の峰尾晋一さんによれば、ハッピーカムカムの初回カウンセリングは説明や営業トークは一切しない。その人が「どういう相手と結婚したいのか」という要望を2時間にわたってひたすら聞く。

 当然、聞く側にはスキルが必要だ。例えば、「優しい人がいい」という要望があれば、具体的にどのようなシチュエーションでどんな言動をする人を「優しい」と感じるのかを徹底的に掘り下げていく。すると、自分が本当はどんな人を求めていたのかが自然と見えてくるらしい。

第11回 『ブライダルサポート岡崎センター』 愛知県豊田市の結婚相談所

2019年07月05日


 結婚とは、本人同士の恋愛感情だけでなく、生活や仕事、親きょうだいなどがすべて関係する。まさに人生を分かち合うのだ。その重要な相手を見つけるお手伝いをする結婚相談所を経営するのは、多様な経験を積んでからでも遅くない。

 石原愛さんが東京から愛知にUターンをしたのは2012年。今は亡き母親が高齢になり、結婚相談所「ブライダルサポート岡崎センター」の跡継ぎを欲していたのが最大の理由だ。岡崎市を中心とする愛知県三河地方が主な営業地域である。

「知らない人と会って話すことが楽しそうだと思いました。母も休みなく働いていましたが、私もオンとオフの境は必要ないほうです。会員さんからの電話は出られるときはいつでも出ます」

 東京では業務用の音響機器販売会社で14年間も営業の仕事をしていた石原さん。そのときの経験が自然と生きている。

「私のお客さんはレコーディングスタジオやテレビ・ラジオ局のスタジオで働く人たちでした。いわゆる音楽業界ですね。そこではセールスセールスするのではなく、仲間としてどうやったら一緒にいい映像や音を作れるのかが大事でした。相手が何を欲しているのかな、と思いながら同じ方向を見て仕事をするのは今でも変わりません」

 自分よりも年上の男性会員が相手でも腰が引けたりはせず、むしろ得意だと言い切る石原さん。マニュアルトークなどはせず、キレイ事ばかりを言わないことが、信頼関係を築くコツだという。

「友だちを作るときと同じですよね。相手を知り、自分のことも知ってもらいながら付き合いを深めていくためには、決まりきったことなどは話さないでしょう?」

第10回 『こうのとり結婚&妊活塾』 東京都足立区の結婚相談所

2019年06月21日


「不妊治療を経験した女性が出産後に『妊活アドバイザー』みたいな仕事を始めることがあります。セミナーの参加費1万円とか。アドバイスだけでお金をもらうのは嫌だなと私は感じます。婚活と不妊治療は似ているところがあって、若いほうが有利で、年齢を重ねてから始めると成功確率は低くなります。結局は運なのです。結婚相手の候補をちゃんと紹介するのであればフェアだと思って、結婚相談所を始めることにしました。妊活のアドバイスはもちろん無料です」

 都内の駅ビルにあるカフェで話してくれるのは、「こうのとり結婚&妊活塾」の中野りい子さん。彼女のブログには<30代後半で年下の三高イケメンと結婚、4年の妊活を経て40代で出産>とのプロフィールが書かれている。やや高飛車で強引な人物を予想しながらインタビューに向かったのだが、実際の中野さんはきさくな雰囲気の女性だった。そして、公正な人物であることが冒頭の発言から伝わってくる。

「うちは入会金も含めて5万円で婚活をスタートできます。月会費は1万円です。女性はお見合い料もありません。婚活をしても結婚できないときのリスク(金銭的コスト)は少ないほうがいいですから」

 率直な発言を連発する中野さん。自分自身も20代後半から婚活を始め、結婚相談所は2社に入り、ネット婚活も経験した。

「すごい額のお金を使って途中で病気にもなった不妊治療よりも、約10年の婚活のほうがはるかに辛かったです。不妊治療は一緒にがんばってくれる主人がいますが、婚活は一人でやらなくてはいけません。うまくいかずに独身のままだとキャリアのない私は生活面での不安が高まります。今でも婚活をしている悪夢を見ることがありますよ。目が覚めて隣に主人が寝ているのを見て、良かった~と安心します」

第8回 『ジャストフィットパートナーズ』 千葉県柏市の結婚相談所

2019年04月25日


 千葉県柏市の農業地帯にある立派な一軒家にお邪魔している。「今日はまだ眉毛を描いていません」と笑いながら対応してくれるのはジャストフィットパートナーズ(以下JFP)の岩立友紀子さん。この自宅を拠点にして結婚相談所を始めるに至るまでには、自らの経験が強く影響している。

 東京都葛飾区で農業とは無縁に育った岩立さんは、大学卒業後は大手の証券会社に就職。しかし、すぐに金融の仕事に疑問を感じて農家を志すようになる。退職後、九州の農業法人での研修を経て、2012年に千葉県で新規就農。4反(約4000平方メートル)の畑を借り耕し始めたが、経験の浅い女性一人では経済的にも体力的にも厳しいのが現実に突き当たった。

「1年目は手当たり次第、100品目もつくりました。秋冬野菜はほとんど失敗し、収穫物はゼロに等しかったです」

 なんとか収穫できた野菜をスーパーやマルシェ(直販市場)に販売したが、売り上げは150万円程度。設備投資を差し引くと赤字だった。

 それでも体当たりで農業に取り組み続ける岩立さんを周囲のベテラン農家たちは放っておけず、様々な人が手を差し伸べてくれた。その一人が現在の夫だった。



第7回 『グラシアス』 愛知県岡崎市の結婚相談所

2019年04月13日


 結婚の「天国と地獄」を身をもって知っている女性がいる。愛知県三河地域で結婚相談所「グラシアス」を運営する塚平寿奈さんだ。まずは地獄の経験から。

 19歳で結婚した塚平さんは3人の子どもに恵まれた一方で、夫からの日常的なDVを受けていた。義理の両親は助けるどころか夫に加担。塚平さんは「1円単位での度が過ぎた節約」「午後2時までに洗濯物をとりこまないと説教」などの奴隷的な家庭生活を強いられた。暴力を受けて腕などにあざができることあり、夫の実家では体調が悪くても家事と正座をさせられる日々だった。

「同世代で結婚している友だちがいなかったし、母も嫁姑問題で苦労をしていたので、『結婚とはこういうものなんだ』とあきらめていたんです」

 なんとしても3人の子どもは育て上げなければいけない――。10年以上に及んだ地獄の生活でも心に誓っていた塚平さん。変化が訪れたのはパートとして外で働き始めたことがきっかけだった。


第6回 『ハチドリ』 東京都港区南青山の結婚相談所

2019年04月03日


 「仕事が忙しいのを言い訳にして婚活から逃げていたんです。結婚相手に高望みをしていたのもあります。30代後半で婚活を始めて厳しい現実に打ちのめされました。でも、痛い思いをして自分の立ち位置を知らずにいたら、私は今でも独身でもがいていたと思います」