第35回 『婚活サロン 寿プロデュース』 大阪府堺市の結婚相談所

2020年11月12日


 上品な着物姿の優しそうな女性がZoom画面の向こうに座っている。大阪府堺市で寿プロデュースを運営している岩田寿子(としこ)さんは、一見すると、専業主婦として子どもを育て終えたのを機に開業したような女性だ。しかし、会話を始めるとビジネスの世界で揉まれてきたことがわかる。優しさは漂わせながらも、論理的で無駄のない話し方なのだ。

 岩田さんは16年間も地域密着の人材派遣会社で「営業職兼キャリアコンサルタント」として働いてきた実績がある。途中の2年間は、社内の新規ビジネスとして結婚相談所を開設。運営責任者として携わっていた。人と人(企業)をつなげるビジネスという点では人材派遣と結婚相談所は似ているのだ。

「ただし、結婚相談所のほうがその人の人生すべてに関わることができます。その新規事業で結婚した方々とはお付き合いが続いています。お子さんが生まれたときに報告していただいたり、夫婦げんかの相談を受けたり。退会者との関わりは収益にはなりませんが、私は自分の家族が増えるような気持がしています」

 このようなセリフを聞くと、優しさの名のもとに自分の価値観を押し付けてくるカウンセラーなのではないかと心配になるが、岩田さんの場合は無用。前職の豊かな経験によって、「お客様を選り好みしない」「希望は辛抱強くすべて聞く」「何が何でも結果を出す」ことが徹底しているのだ。



第34回 『東京フォリパートナー』 東京都渋谷区の結婚相談所

2020年11月07日


「結婚相談所とマッチングアプリはまったく別物のサービスだと私は思います。特に男性の立場からすると、マッチングアプリは彼女や遊び相手を探す場です。一方の結婚相談所は結婚だけを真剣に考えている人が集まる場所。うちに来ていただく方も、『結婚したいのかどうか自分でもわからないけれど恋人は欲しい』という場合にはアプリの利用を勧めています。もちろん、結婚相談所と並行してもかまいません」

 余裕のある話し方をするのは、東京フォリパートナー代表の守部弘昭さん。独立開業7年目にして、自身を含めてカウンセラー9名体制で運営している。

 フォリパートナーの売りの一つが、会員の性別や年齢、職業などによって成婚率の高いカウンセラーを割り当てること。そして、最後まで親身になってフォローをする。

「カウンセラーの性格も様々です。サバサバしている人もいればじっくり寄り添う人もいます。相性が良さそうな人を割り当てるのは私の仕事です」

 会員は来店ベースだと8:2で女性のほうが多い。実際の会員は65:35の割合だと守部さんは明かしてくれた。男女ともに20代後半から40代半ばまでの人がほとんどで、30代が8割を占めるという。

「起業する前は、結婚相談所には恋愛下手な人が多いと私も思っていました。でも、実際にはそういうタイプは2割ぐらいで、7割は普通の人たちです。1割はすごくキレイな人や年収が高い人がいて驚きます。冷やかしではなく、仕事が忙しくて出会っている時間がないので、結婚のご縁を効率よく作りたい、という理由です」

 東京フォリパートナーは結婚相談所の連盟としては最大手のIBJに加盟している。合わせると何万人もの会員数がいるため、「条件のいい1割」がプロフィールを公開すると初日だけで何百件ものお見合い申し込みが来ることがあり、その人たちとお見合いできるのは条件面で釣り合いが取れる人に限られる。「結婚相談所には『いい人』がいない。いても会えない」と嘆く前に、相手と自分とのバランスを考慮すべきなのだ。

第33回 『ビーベリー』 愛知県豊橋市の結婚相談所

2020年10月30日


<自身の婚活について思い返しますと、婚活では頭のキレる知的な人と出会いたいと願っていました。結局、ちょっと違う感じの人と結婚しましたが、幸運にも収まるべきところに収まったと自分では思います。60人以上会ってこれですから、ゆっくり自己流でやっていたら何年かかったかわかりません。本当にお見合いという仕組みがあったことに感謝しています。(中略)

自分の強み/しっかりやりたいところは、考えてみると「アプリ、パーティー、元カレなど他の活動のことでも、ご相談をお受けする」ことだと思います。今は誰かに相談したいのにできなくて困っている人が本当に多いです。家族関係の悩みは婚活には影響が大きい話です。会社での人間関係のご相談を聞くこともあります。現在の少人数ならでは、ですね。>

 愛知県東三河地方の中核都市である豊橋市で結婚相談所ビーベリーを営む下野祥代さんからのメール文の一部だ。ちなみに僕はまったく手を加えていない。下野さんの誠実な人柄と高い文章力が伝わって来るような文面だと思う。

「会員さんのプロフィールを自然で親しみやすい形で書いて差し上げることには自信があります。私が婚活していた時も、バリバリ感に溢れたすご過ぎるプロフィールを見せられるのは苦手だったからです。もちろん、コピペなどは論外です」

 上記のメール文にもあるように、下野さんは会員がマッチングアプリを利用する際もプロフィール文のアドバイスをしてあげている。実際、会員がアプリで相手を見つけて退会したこともある。

 それでは成婚料を受け取ることができないが、「快く送り出しています」と下野さん。いい人だな、と思うけれど経営がちょっと心配になる。そこまでサービスするならばお見合い料や月会費を高めにして、成婚料は思い切ってゼロ円にするなどの改革が必要かもしれない。

第32回 『結婚相談所ganmi』 東京都品川区の結婚相談所

2020年10月29日


 自らの経験則が普遍性に通じていくような仕事人が本当の実力派だなと思う。結婚相談所ganmiの代表カウンセラーである三島光世さんは15年前に中規模の結婚相談所に入社し、10年前に独立開業した。そのときに掲げた成果報酬型の料金体系は結婚相談所業界ではおそらく初めてのものだった。現在に至るまで入会金ゼロを貫く。

「会員様は婚活のためにではなく結婚するためにお金を払っているからです。私が結婚相談所を続けている理由は結果を出して報酬をいただくためです。人が好き、お世話が大好きなタイプの人間ではありません。だからこそ、自分の会員様も含めて冷静に見てアドバイスができるのだと思います」

 緊張や人見知りという言葉を知らないのではないかと思うほどの勢いで話し出す三島さん。入会条件を厳しめにして、入会後も「はっきりと現実を伝える」方針で成婚を追求してきた。小原さんという後継者となるスタッフも抱えている。退路を断って結果を出してきた人に共通する迫力があるのだ。

 三島さんは、ganmiのような仲人型の結婚相談所でフルサポートを受けることがすべての人に向いているとは限らないと断言する。大手の結婚相談所(結婚情報サービス)やマッチングアプリが合う人もいるのだ。テレビや雑誌にも登場する機会の多い三島さんは、「トータルで婚活業界を説明できる人でありたい」と語る。

「婚活と結婚の現実を伝えてわかってもらうことも私たちの役目だと思っています」

第31回 『Yokohama Marriage Agency』 神奈川県横浜市の結婚相談所

2020年10月20日


「彼のプロフィールをどう表現すれば女性に興味を持ってもらえるのか。写真をどのように撮り直せばいいのだろうか。いま、ずっと考え続けています」

 ちょっと不器用な話し方から誠実な人柄が垣間見える。結婚相談所Yokohama Marriage Agencyの高澤直人さんだ。2019年に開業し、取材時点では会員は男性1名のみ。大丈夫なのか。

「まずは目の前の会員さんにしっかり向き合って成果を出していくフェーズだと思っています。もちろん、お問い合わせいただければしっかり対応します。ある女性から質問を受けているので、『どんな答えをすればこの人は前向きになってくれるのか』を寝ても覚めても考えています」

 高澤さんには本業がある。ITベンチャーでデジタルマーケティングや広報業務を担当しているのだ。国内のビジネススクールに通って経営学修士を取得した経験もあり、「どうやって売り込むか」などを考えて結果を出すことに「マーケターとしての魅力」を感じ続けている。

「デジタルマーケティングの世界では1つの施策ですぐに結果が出ることはまずありません。気持ちを折ることなく、何回も直して少しずつ進んでいくのです。婚活も同じだと思っています」





第30回 『サンマリー東京』 東京都港区の結婚相談所

2020年10月18日


 様々な人生経験を目の前の仕事に生かせることが結婚相談所運営の醍醐味だと筆者は思う。逆に言えば、結婚相談所が提供する最大の「売り物」はカウンセラーの人柄と能力なのだ。カウンセラーに信頼や共感を覚えるからこそ、その助言に素直に耳を傾けられて、婚活の幅を広げて成婚に至りやすくなる。

 2019年11月にサンマリー東京を開業した蜂巣直子さんの前職は大手百貨店の法人外商営業部。航空会社や化粧品メーカーの制服など、企業からの大口注文を狙い続ける仕事である。

「窓口は各社の総務部などですが、その先にいる何千人、何万人の顧客のことを考えねばなりません。売れたら5億円だけど売れなかったらゼロ円だったりします。やりがいはあったけれど、顧客と取引先の板挟みなどもあってストレスの大きな仕事でした。結婚相談所はもっとシンプルで明快です。個人に丁寧に向き合って結果を出せばいい。人間らしい生活ができています」

 見るからに押し出しのいい蜂巣さん。きっと「できる営業」だったのだろう。25年間におよんだ百貨店の勤務経験は結婚相談所の開業に役立ち、勤め人の気持ちに寄り添うサービス開発にもつながっている。この点に関しては後述する。

第29回 『婚活ハナコとタロウ』 大阪府堺市の結婚相談所

2020年09月20日


 新型コロナウイルスの感染拡大とその対応により、医療関係者への感謝と尊敬の念が高まっている。危機的な状況で冷静に務めを果たそうとする姿は美しいしありがたいと筆者も感じる。

ただし、彼らも一人の生活者である。プライベートの安定と充実があってこそ仕事に励めるものだ。医療関係者の多くは不規則な出勤形態にならざるを得ないが、「結婚したい」と思ったときに結婚できる世の中であってほしい。それには彼らの婚活を親身になってサポートしてくれる人が必要だろう。

 大阪府を中心に主として看護師の婚活を支援しているのが「婚活ハナコとタロウ」だ。代表の塩路高浩さんはWeb系の仕事に長く従事してきた経験がある。

「Webの仕事は今でも続けています。情報サイトを運営していたことがあり、婚活系情報の需要の高さは知っていました。一方で、Webの仕事ばかりやっていると疲れます(笑)。私もすでに40代半ばです。人の幸せに直接関われるような温かみのある仕事をやりたいなと思って結婚相談所を開業しました」

 会員を医療関係者に特化した理由は、パートナーである妻の貴子さんが看護師だからだ。貴子さん自身、30代半ばで結婚願望が高まり、婚活サイトに登録してすぐに高浩さんと出会うことができた。しかし、離婚歴のある高浩さんのほうは婚活パーティーなども含めて1年近くを婚活に費やした。

「途中、気分の波もありました。そんな私の場合、ちゃんとカウンセリングもして寄り添ってくれる結婚相談所のほうが向いていたのかな、と思うこともあります」

第28回 『ラウレアマリッジ吉祥寺』 東京都武蔵野市の結婚相談所

2020年09月14日


 44歳の女性。離婚歴あり。中学生の子どもと2人暮らし。婚活の場においてはかなり不利な立場に置かれるスペックだ。ラウレアマリッジ吉祥寺の佐藤優さんは、この条件で結婚相談所に入会して1年後には現在の夫と出会って結ばれることができた。

「この上ない人と結婚できたと思っています。結婚してから7年間でケンカをしたことはありません。軽い言い合いになることはありますが、話し合ってお互いが相手の意見を受け入れられるからです」

 婚活中の読者のためにも、「佐藤さんの再婚は奇跡だった」とは言いたくない。なぜなら、佐藤さんは結婚相談所を介して10人もの男性とお見合いすることができ、その中で最も誠実そうで自分と相性が良さそうな男性を選んだからだ。

 婚活アプリなどとは異なり、結婚相談所の場合はカウンセラー(仲人)が必ず付く。大半の結婚相談所は「連盟」と呼ばれる会員情報共有システムに入っているため、会員は自由にシステムを使って異性の情報を検索してお見合いを申し込むことができる。これは婚活アプリと似ている。

 結婚相談所の利点は、プロであるカウンセラーが間に立ち、「この人はどうですか? あなたの条件とは少し違うけれどいい人そうですよ」と勧めてくれたり、お見合い後もあれこれとフォローしてくれることにある。相手に言いづらいことは上手に伝えるのもカウンセラーの役割である。

 佐藤さんの場合、相手側のカウンセラーのちょっとしたミスと思いやりのおかげで夫と縁をつなぐことができた。

「なぜか私が2回もお見合いを申し込んだことになっていたんです。夫は埼玉在住だったので東京の私とのお見合いを渋っていたようですが、『2回も申し込んでくれたのだから会ってみたら?』と先方の仲人さんが説得してくれました」





第27回 『結婚相談所いちご一縁』 東京都豊島区の結婚相談所

2020年08月05日


 1988年生まれの31歳。立教大学卒。結婚相談所「いちご一縁」代表の江口菜美さんは、一見すると育ちのいい清楚な若奥様風の女性だ。

 しかし、結婚相談所を始めるまでの20代を振り返ってもらうと、仕事でもプライベートでも先が見えず、自信が全く持てずに苦しんでいたことがわかる。結婚に焦って「依存タイプ」の男性と無理に交際して婚約破棄に至った経験もある。意外と苦労人なのだ。だからこそ、婚活で大変な思いをしている人に辛抱強く寄り添えるのかもしれない。

「大学卒業後の3年間は通信制の高校で国語教師をしていました。複雑な家庭で育ってきた生徒もいます。でも、視野が狭い私は社会のことを何も教えてあげられません。閉塞感が強まって退職しました」

 勤め先の高校を自分も「卒業」してしまった後も江口さんの迷走は続く。非常勤の教員をしながらカフェバイトなどを試すが、適職だと思える仕事は見つからなかった。

 一方で、25歳ごろから学生時代の友人たちが次々と結婚をし始めた。大卒者の結婚第一波である。ちなみに第二波は30歳直前、第三波は35歳直前に来やすい。

「結婚していない自分は人間としてダメ!なんて思いこんでしまいました。結婚した人たちは数年交際してからだったので、彼氏もいない私とは文脈が違うのですが、そんなことは目に入らずに焦っていました」





第26回 『サニーソウマリッジ』 京都市中京区の結婚相談所

2020年08月02日


「40歳を超えた頃から、『人生の前半が終わったな。後半は人の笑顔を直接見られる仕事をしたい』と思っていました。結婚生活も10年を過ぎて節目を感じていたこともあります」

 Zoom画面の向こうで、いかにも人が良さそうな顔をしているのは京都の平田誠二さんだ。20年間勤めた製造業のサラリーマンを辞めて、妻の未來さんが2019年の夏に始めた結婚相談所「サニーソウマリッジ」に参加したのは今年1月のこと。屋号を決めたりする準備段階から前のめりで関わっていたと振り返る。

「会社の社長からは引き留めてもらいました。でも、僕の気持ちを伝えたら『それなら仕方ない』と応援してくれています。社長の奥さんのお友達を会員候補として紹介してくれたり。ありがたいことです」

 子どもの頃から「笑うのも笑わせるのも大好き」だったという平田さん。高校時代まで打ち込んでいた野球では常にキャプテンもしくは副キャプテン。自然とまとめ役をしていた。

「人がいっぱい集まって楽しそうにしているのが好きで、社会人になってからは合コンを毎週末のように企画して、200人規模の飲み会サークルも運営していました。でも、僕はいわゆる遊び人ではありません。女の子が泊まりに来ても何もしないような安全なタイプです(笑)。とにかく人の輪と縁をつなげていくのが好きでした」